2013年9月30日月曜日

「ワーク・シフト」

最近読んだ本を紹介したい。

「ワーク・シフト― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」 リンダ・グラットン著・池村千秋訳(プレジデント社)。著者はロンドン・ビジネススクールの教授で、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとりに挙げられるなど、各誌紙で高く評価されている識者だそうだ。日本語訳のサブタイトルにあるように、近未来、2025年における架空の人物たちの働き方を描き、我々の働き方・日常生活がどのようなものになるのか提示する。

1部「なにが働き方の未来を帰るのか?」では、今後、我々の働き方が主に5つの要因―“テクノロジーの進化”“グローバル化の進展”“人口構成の変化と長寿化”“社会の変化”“エネルギー・環境問題の深刻化”―によって大きな変化を強いられることを説明する。そして迎える2025年の働き方を描くとき、主に2種類のシナリオ「第2部 『漫然と迎える未来』の暗い現実」「第3部『主体的に築く未来』の明るい日々」が用意されており、後者のシナリオを実現するには、「第4部 働き方を〈シフト〉する」べきで、3つのシフトを実行するべきだと説く。

以下、3つのシフトを説明した文章を序章から引用する。
―第一に、ゼネラリスト的な技能を尊ぶ常識を問い直すべきだ。世界の五〇億人がインターネットにアクセスし、つながり合う世界が出現すれば、ゼネラリストの時代が幕を下ろすことは明らかだと、私には思える。それに代わって訪れる新しい時代には、本書で提唱する「専門技能の連続的習得」を通じて、自分の価値を高めていかなくてはならない。未来にどういう技能と能力が評価されるかを知り、その分野で高度な技能を磨くと同時に、状況に応じて柔軟に専門分野を変えることが求められるのだ。また、個人の差別化がますます難しくなるなかで、セルフマーケティングをおこなって自分を売り込み、自分の技量を証明する材料を確立する必要性も高まる。
第二に、職業生活とキャリアを成功させる土台が個人主義と競争原理であるという常識を問い直すべきだ。私たちがいつも時間に追われ、孤独を感じる傾向がさらに強まれば、人間同士の結びつき、コラボレーション、人的ネットワークの重要性がきわめて大きくなる。難しい仕事に取り組むときに力になってくれる人たちも重要だし、斬新なアイデアの源になりうる多様性のあるコミュニティも重要だ。活力を補給し、精神のバランスを保つためには、親密で、温かく、愛情のある人間関係も欠かせない。バーチャル化がますます進む世界では、そういう人間関係が当たり前に存在するわけではない。そのような人間関係は、意識的に形づくっていかなくてはならなくなる。
第三に、どういう職業人生が幸せかという常識を問い直すべきだ。これまでの常識どおり、貪欲に大量のモノを消費し続けることが幸せなのか。それとも、そうしたライフスタイルが代償をともなうことを明確に認識したうえで、質の高い経験と人生のバランスを重んじる姿勢に転換するほうが幸せなのか。
未来を完全に予測することは不可能だが、だからと言って、すべてを運任せにしていいわけではない。未来を形づくる五つの要因をよく理解し、未来ストーリーを描いて自分の選択の手がかりにし、職業生活に関するいくつかの常識を根本から〈シフト〉させれば、好ましい未来を迎える確率を高められる。仕事を通じて、胸躍る日々を送り、喜びを味わい、自分とほかの人たちのために価値を生み出せる可能性が広がるのである。―

2025年とは、12年後である。かたや12年「前」は2001年。本書でも2000年代初頭をしばしば引き合いに出しているが、この間の変化を上回る変化がこれからやってくる、そう先のことではない…、と静かな戦慄を覚えた。

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