2013年11月26日火曜日

「機械との競争」(1)

最近読んだ本を紹介したい。

「機械との競争(Race Against The Machine)」 エリック・ブリニョルフソン/アンドリュー・マカフィー著/村井章子訳(日経BP社)。帯には、「テクノロジー失業」の襲来!! MITによる恐るべき最新レポート!! アメリカ経済学会で話題沸騰!!“とある。「コンピュータが加速度的に人間だけができたはずの仕事の領域を侵食しつつあるので、まさに機械に人間が駆逐されつつあるというのが本書の主張」(解説より)のようである。

機械との競争は過去にもあった。19世紀はじめのイギリスにおける、産業革命によって登場した機械の打ち壊し運動(ラッダイト運動)は、その象徴的な事例として学校でも習ったが、その後の進展をみると、技術革新によって奪われた雇用は、技術革新によって生み出された新たな雇用へ吸収されたらしい。しかし、今回のIT・コンピュータによる革命は雇用を「破壊」し、労働需要は二極化していくという。二極化とは具体的には、スキルの高い労働(高所得)と、コンピュータにとって代わられないようなスキルの低い労働(低所得)であり、スキル分布の中間層の労働需要は落ち込んでしまうという(すでにその傾向は現れている)のだ。これは、過去の技術革新に比べ今回のそれは、その進展が想像をはるかに超えるスピードで進んでいることにより、我々人間がその変化についていけないことに起因しているという。このスピードの速さを、著者は「ムーアの法則」と「チェス盤の法則」で説明する。

ムーアの法則」とは、トランジスタなどの集積密度が18か月で倍増するという法則で、デジタル機器全般にこの法則(あるいはこの変形版)が当てはまるというものだ。一方「チェス盤の法則」については、以下引用して説明する。
―チェス盤を発明した男が王様に献呈したところ、王様は大層喜び、望みの褒美をつかわすと言った。そこでこの賢い男は米を所望し、チェス盤の最初のマス目に一粒、二番目のマス目に二粒、三番目に四粒……という具合に、前のマス目の倍の米を置いていき、その合計を賜りたいと申し出た。
 王様はたやすいことだと承知したが、実際には倍、倍とただ置いていくだけで米粒は途方もない量になった。最終的には、米粒の数は二の六四乗マイナス一粒になったのである。これは、積み上げればエベレスト山よりも高い。一杯食わされたことに腹を立てた王様は男の首を刎ねてしまった、という言い伝えもある。―
一般的なチェス盤のマス目は8×864マスらしいが、我々は今、テクノロジー革命のただなかにあって、その半分の32マス目くらいにいるのだと仮定している。米粒はすでに40億粒に達している。残り半分を進むと、米粒はエベレスト山よりも高くなるほどの量になるという。

このように、コンピュータ・テクノロジー革命の進展スピードは想像を絶するもので、我々の労働・雇用に、さらには経済・社会に大きなインパクトを与えるものだ。人間は、このままテクノロジーに駆逐されてしまうのだろうか。(続く)

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