2013年12月2日月曜日

「機械との競争」(2)

1115日の読売新聞朝刊に「世界in-depth」という記事が掲載された。“読売新聞の特派員が海外の動きや話題を多角的に掘り下げるシリーズ”とのこと、今回はロサンゼルスから。「空に道路に無人化の波―運転も捜索も…最先端の米」というタイトルで、空中から容疑者を捜索する無人小型機、自動操縦の車、ロボットなどの例を挙げている。一方で、ハッキングで制御不能になる恐れやプライバシー侵害の懸念、そしてタクシー運転手の「俺たちはどこで働けばいいんだい?」というボヤキも紹介されている。

「チェス盤の法則」でいうところの32マス目くらいにいる我々が目にするこれら現実は、本書「機械との競争」でも紹介されている。ほんの数年後には、ボヤいているのはタクシー運転手だけではないかもしれない。以下引用する。
―経済史をひもとくと、企業が成長し、利益を生み、機械や設備を購入するときには、労働者も雇うものと決まっている。だが、アメリカ企業は、大不況(注:リーマンショック後の)が終わっても雇用を再開しなかった。(中略)企業は新しい機械こそ買ったけれども、新しい人間を雇おうとはしていない。―
―端的に言って、中間層の労働者はテクノロジーとの競争に負けつつある。―
―いま私たちが直面している問題の根本原因は、大不況でも大停滞でもない。人々が「大再構築(Great Restructuring)」の産みの苦しみに投げ込まれているということである。テクノロジーは先行し、人間のスキルや組織構造の多くは、後れをとっている。したがってこの現象を理解して影響を検討し、労働者が技術に対抗するのではなく、技術とともにこれからの競争を乗り切っていけるよう、戦略を練らなければならない。これは、差し迫った課題である。―

著者は、コンピュータを敵に回すのではなく味方につけ、コンピュータとともに競争していく術を学ぶこと、組織革新の推進と人的資本の強化の必要性を、19項目の具体的な提言(主にアメリカを念頭に)という形で訴えている。そして最後に、「デジタル・オプティミスト」を自称する著者は、過去2回の産業革命(蒸気機関と電気)を念頭に、こう結んでいる。
―第三の産業革命は、現在進行中である。この革命を導くのはコンピュータとネットワークだ。過去の二回の革命と同じく、今回の革命も完全に終わるまでには数十年を要するだろう。そして二回の革命同様、人類の発展の道筋を大きく変え、歴史を書き換えることになるだろう。混乱や歪みは起きるだろうし、それを乗り越えるのはたしかに容易ではあるまい。だが、変化の大半はよいものであり、人類も世界もデジタルフロンティアでゆたかになると私たちは確信している。―

現在進行形の革命に、我々はどう対処し乗り越えるべきか。どのように働くのか、仕事のありようはどうなるのか…。以前ブログで紹介した「ワーク・シフト」とともに、示唆に富む一冊である。

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